邦画のバリアフリー対応推移
MASC調べ
これまで、一般社団法人映画産業団体連合会、一般社団法人日本映画製作者連盟が主体となり、バリアフリー対応を進めてきました。現在、邦画メジャー作品は殆ど対応しています。
*2023年興行収入10億円以上の邦画34本中、33本がバリアフリー化された。
【考察】
音声ガイドは、2016年までは制作しても、ボランティア等が映画館に行って、FMラジオで実施する方法しか無かったため、年間数作品しか対応していませんでしたが、「スマホで聴く音声ガイド」で、いつでもどこでもを実現したたため、制作本数が一気に増えました。
字幕ガイドについては、元々スクリーンに字幕を表示する「字幕付き上映」は、映連(松竹・東宝・東映・KADOKAWA)中心に実施されてましたが、映画上映期間の数日のみ対応という閉塞的な状況でした。「メガネで見る字幕ガイド」により、いつでもどこでもを実現したので、対応本数は増え続けています。(一部劇場で字幕メガネ貸し出し中)
字幕メガネ機器に関するネガティブな意見もありますが、字幕メガネは必ず進化して快適になります。この新しい配信システムが確立すると「スクリーンへの字幕付き上映」「メガネ以外の携帯端末等での字幕表示」など手軽にできるようになります。
グラフだけ見ると邦画全体のバリアフリー対応は少なく感じますが、シネコンで上映される邦画メジャー作品は殆ど対応しています。課題は公開館数の少ない作品への対応になります。
*上記データの年度は、12月〜11月で計算されています。
「スマホで聴く音声ガイド」「メガネで見る字幕ガイド」導入の経緯(抜粋)
2009年:MASC設立、エヴァンゲリヲン 新劇場版:破」で、初の劇場バリアフリー字幕配信システムとモニターの実証実験を実施。NIKON製ヘッドマウントディスプレイを使用。
2010年:国内初の試みとして、最新の邦画への連続定期バリアフリー上映鑑賞サポートを毎週日曜日実施。開発した音声同期(フィンガープリント)の字幕+音声ガイド配信システムを使用して計17作品 (テアトル蒲田/蒲田宝塚にて2011年3月まで実施)。
2011年:開発中のオリンパス製ヘッドマウントディスプレイを使用した、日本語・英語切替可能な劇場配信字幕表示システムを披露。同様のシステムはおそらく世界初。
2013年;東京国際映画祭 のバリアフリー上映企画「武士の献立」&シンポジウムにて、海外の「音声電子透かし技術」を使ったバリアフリー上映システムの提案を行う。(アプリ名「おと見」)
2014年:日本エヴィクサー(現エヴィクサー株式会社)の音声透かし技術協力を得て開発した、バリアフリー視聴アプリ「UDcast」(提供元:パラブラ株式会社)のサービスを開始。
経済産業省 平成26年度コンテンツ産業強化対策支援事業(映画上映に関するバリアフリー対応に向けた障害者の視聴環境の在り方に関する調査事業)受託(報告書) *経産省 厚労省 文化庁 当事者参加のプロジェクト
2015年:「メガネで見る字幕ガイド」「スマホで聴く音声ガイド」実証実験(2016年公表の報告書)
2016年:全国各地の映画館関係者にメガネ型端末、スマホ等を使用した鑑賞体験・劇場対応マニュアルについての説明を行う。劇場公開映画「ONE PIECE FILM GOLD」にて、アプリ「UDCast」で、音声ガイド配信がスタート。
2017年:劇場公開映画「三度目の殺人」より、スマートグラスによる字幕表示対応がはじまる。全国全ての映画館でスマートグラスMOVERIOの持ち込み使用を可能とした。
2018年:映画館での字幕表示スマートグラスの貸し出し対応がスタート。MASCとエヴィクサー社で音声同期システムに関する特許を取得(特願2013-191902)
2019年:「第32回 東京国際映画祭」157台の字幕メガネ(EPSON MOVERIO)を全席で使用、世界初の試みでした。実験当初より、安定した技術を提供していただいたエヴィクサー社が、アプリ「HELLO! MOVIE」サービスを開始。
2020年:株式会社サンライズ社より、600台の字幕メガネ(EPSON MOVERIO)をご寄付頂き、個人モニター100名、全国100館への字幕メガネ貸出開始につながりました。
「スマホで聴く音声ガイド」「メガネで見る字幕ガイド」
及びマークは、MASCの登録商標です。
「HELLO! MOVIE」はエヴィクサー株式会社の登録商標です。
「UDCast」はパラブラ株式会社の登録商標です。